2008年09月13日

ピアノ

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 ピアノを弾ける人がみんなピアニストになれるわけではない。それは日本語を話せる人がすべて詩人にはなれないのと同じようなことだ。学習や訓練は大事だが時にはそれ自体が音楽をスポイルしてしまうこともある。音楽家とは生きた音楽を奏でられる人。そのためには演奏家自身が活き活きと生きていなければならず、あるときは子供のように、あるときは哲学者のようになにものにもとらわれず、いかなる先入観や偏見からも自由であること。
 今日の昼間に放送されていたNHKのスーパー・ピアノ・レッスンは面白かった。マリア・ジョアン・ピレシュというピアニストはぜんぜん知らなかったが、ウーンこんな人がいたんだな。言葉はスペイン語かポルトガル語のようだ。厳しい訓練でがんじがらめになった生徒の頭に柔らかい命の息吹を吹き込んでいた。
 演奏家は機械ではない。音楽は自分の外にあるものではなく自分の中から生まれていくもの。このことは表現者にとっては天動説と地動説ほどの違いがある。若い彼らにどこまで通じるだろうか。もう遅いかもしれないけどまだ間に合うかもしれない。どちらにしてもこんなレッスンを受けられた子供たちはラッキーだ。

 テレビではピレシュと表記されていたがピリスというのが一般的な呼び名のようだ。久しぶりにピアノが聴きたくなってきた。ピアノの響きをすみずみまで再現できるオーディオ装置が欲しい。

投稿 : shuzo MARUTA : 2008年09月13日 23:59
コメント

マリア・ピリス。ピアニストとは思えない土を愛する節くれだった手、日に焼けた素顔。ストイックな演奏。その生き方にとても魅かれ演奏会に行ったのはいつだったか・・
この番組みたかったです。(名前ごんまま・ビッテにもどします)

コメント by: ごんまま・ビッテ : 2008年09月15日 17:21

クラシックにはあまり縁がないものでこの人のこともぜんぜん知りませんでした。コンサートに行かれたとのこと、うらやましいですね。秋になり空気が冷えてくるとピアノの響きが冴えてくるような気がします。You Tubeで演奏を聞くことが出来ました。こちらです。
http://jp.youtube.com/watch?v=untEORj4r-M
繊細で柔らかく、歌心がありますね。

コメント by: shuzo MARUTA : 2008年09月20日 02:13