Intelligenceは知性とか知力という訳の他に国家機密あるいは諜報という意味もあるんだな。手嶋龍一の「ウルトラ・ダラー」が面白かったのでついでに佐藤優との対談集も読んでみた。その中ではインテリジェンスとは「国家の命運を担う政治指導者が舵を定めるための羅針盤」と定義されている。
「ウルトラ・ダラー」では北朝鮮による拉致、偽ドル札、核開発、そしてウクライナのミサイルなどが互いに関連する一つのストーリーとして描かれている。著者によれば「嘘のような真実」と「真実のような嘘」があり、しかもそれぞれに二重底、三重底の仕掛けを施すことによって情報源を秘匿しているとのこと。フィクションとノンフィクションの垣根を縦横に飛び回る。こんな小説が日本でも生まれるようになったんだな。いっぽう佐藤優は本物のインテリジェンス・オフィサーだっただけにその発言は重くリアリティーがある。彼の著作も読んでみたくなった。