昨年から文様について考えている。文様とは単なる装飾の技法だろうか。
たとえば唐草文様を見るときに感じる懐かしさのようなものはいったい何なんだろう。この感覚はどこから来るのだろうか。
枝の先からまた枝を伸ばし、葉を広げ花を咲かせる。終わることなく繰り返される成長のリズム。まるで生命の連鎖。DNAの二十螺旋。遺伝子の意思。
唐草文様が古今東西さまざまに変化し受け継がれてきた背景には永遠に繰り返される生命エネルギーへの憧れがあるのではないか。
「我々の美の感覚とは生命のプロセスと密接に関連し、我々の美の体系と生命の体系とは共振しあっているのかもしれない。」伊藤俊治著「唐草抄−装飾文様生命誌」より