「無絃の大琴懸けて宇宙の中央にあり。万物の情、万物の心、悉(ことごと)くこの大琴に触れざるはなく、悉くこの大琴の音とならざるはなし。」北村透谷(万物の声と詩人)
ラーガについて考えるとき、いつも透谷のこの文章を思い出す。風のざわめき、木の葉の揺らぎ、蟻の足音、大河の流れ。とにかくこの世のすべての森羅万象は溶け合って壮大なシンフォニーを奏でている。それがラーガだ。その調べは季節や時の流れとともに様々に変化していくだろう。したがってラーガは無限に存在する。そしてその中からとりわけ特徴的な響きを類型化しメロディーではなく音階として固定化されたものが古典インド音楽で演奏される個々のラーガということになる、、、と、これは異文化人の勝手なラーガ解釈だけれどもそれほど的外れではないと思う。
投稿 : shuzo MARUTA : 2011年06月29日 23:54