ひとことも話さなくてもその存在だけで場に力を与えうる人。儀式のあいだも黒服を脱ぐことはなく舞手の動きをじっと見ているだけ。この人が実はセマーの中心なのだ。傍らの信者の姿を見れば右手は心臓の上、左手はおなかのあたりに置いて頭を下げている。これが祈りのかたちのようだ。