最後に登場したこの人は他のダンサーとはずいぶん違っていた。出てきたときから目は一点を見つめたままでニコリともしない。ときには目を閉じて踊っていた。まるで踊りの求道者。気楽な観光客気分でいたらパシンと撥ね返されるような気品と気迫があった。
男社会のトルコの中でベリーダンサーは女の中の女、希望の星でもあって女優や歌手として活躍している人も多いと聞いた。当然社会的地位も高い。この人はファッションモデルとしても一流になれそうだし、アクション映画のヒロインでもおかしくない。もしかしたらこの一座の座長なのかも。