長く生きてると時にはいいこともあるね。これは富山の銘酒「満寿泉」なのだ。
今夜は寒すぎてさすがにストーブに火を入れた。この寒さ、明日まで続きそう。
信州からこんなイベントの案内。上諏訪の五つの酒蔵(舞姫、麗人、本金、横笛、真澄)の新酒の飲み歩き。参加費は2千円で飲み放題なのだ。ほかにも地元料理や漬物などもあり面白そう。片倉館あたりで温泉に入り、そば粉を買って、味噌作り用の糀を買ってそのあと蔵めぐりか。いいねえ。ただ、行きはよいよい帰りは怖い、だな。飲まない運転手が乗り心地のいい車に乗って現れてくれないかな。
上諏訪街道春の呑みあるき
「雪椿」は新潟県加茂市の酒。新しくできたショッピングセンターの日本酒コーナーで見つけた。ネーミングと細身のラベルデザインに先ず惹かれた。初めて飲む酒だけれども味は甘、辛、旨みのバランスが整っていてのど越し柔らか。これは好み。新潟の中にあって端麗辛口でないところもいい。値段は2300円ほど。値段と酒質のバランスも良し。
先日、横浜へ出かけたおりにデパ地下で見つけた龍力(たつりき)。地元兵庫県産の酒米「山田錦」を使った純米酒。ずいぶん前に関西の友人から贈ってもらったことがあるが関東で見かけたのは初めてだと思う。味は端麗辛口とは真逆。やわらかく豊麗でしかも品格がある。米の国に生まれた幸せ。ゆっくりと味わいたい。
アマゾンで探したらひとつ上級グレードのものが出ていた。「龍力」
焼酎ブームがいまだに続いているようで、どこの酒屋へ行っても日本酒のコーナーは縮小気味。南九州や沖縄の酒が好まれるのはこれも温暖化の影響か?
こうした環境の変化の中で日本酒の世界も少しづつ変化してきているようだ。吟醸、大吟醸といった華やかで贅沢な酒造りから地道に足元を見つめた酒造りへ。ひとことで言えば普通でおいしい酒ということになるが実はこれが難しい。焼き物でも「普通にいいもの」を作るには高度な、しかも幅広い技術の蓄積が必要なのだ。
この「三井の寿」は通常の純米酒ではなく廉価版。米は70%精白でアルコール度数も若干低い。ワイン流に表現すればミディアムボディといったところ。ただ骨格がしっかりしているところはさすが。廉価版といっても手抜きをしていない。値段は二千円弱。価格破壊の嵐の中で名門蔵といえども生き残っていかねばならず。これは相当な企業努力と言えるのではなかろうか。信頼できます。
諏訪の糀店で買ってきた米糀を使って米のエキスを取り出すことをやってみた。4日ほどでこのとおり。まろやかな中に炭酸のピリッとした刺激。初めての試みながらなかなかいい出来。米の力水(ちからみず)と呼ぶことにしよう。
午後3時過ぎに本焼き終了。ヒーター線の接続部を修理したので焼成時間が1割以上短縮された。コスト面でも省エネルギー、温暖化対策の面でもこまめなメンテナンスは欠かせない。
時流に流されない真面目な造りとストレートな味わい。信州の酒には全般的に好感を持っている。ただ華美を良しとしない土地柄のせいか味の奥行きというところでは少々もの足りなさも感じていた。
これは先日、八ヶ岳からの帰りに買ってきた酒。単純に言葉では表現できない深みがある。人間の論理では計り知れない未知の領域。森の奥の静けさ。信州の酒の新境地か。ラベルには千曲川最上流の酒とある。醸造は佐久穂町の黒澤酒造。
酒米には五百万石、美山錦、雄町、亀の尾などなどあるがやはり横綱格は山田錦。この酒はいただきものだが山田錦100%の純米酒。味のふくらみ、柔らかさ共に満点のフルボディタイプ。稲作の国に生まれたシアワセ。醸造は灘の浜福鶴銘醸。ごちそうさまです。
午後来客あり。聞けばどぶろくを造っているとのことで、こちらも急に飲みたくなってしまった。本物のどぶろくはどこにも売ってないので菊姫のにごり酒を。これは合法酒。この冬初めてかな。味はまろやかでうまい、うますぎる。二杯も飲めば耳たぶまで暖まってくるのが分かる。ただし飲み過ぎには注意。どぶろく飲むには自制心が必要なのだ。
「丹沢山」でおなじみの川西屋酒造店が送り出した新ブランド「隆」。タンクごとに米や精白歩合を変え、それらをブレンドすることなくそのまま壜詰め。したがってタンクごとに異なる「隆」があるわけで違いはラベルの色と文字で見分ける。これは信州美山錦50%精白の純米酒。万葉的なおおらかな味わいで文句なし。
日本酒は生ものなので蔵元を出荷されたあとの管理の仕方で味がまったく変わってくる。たとえばこの「大七」。銀座の量販店で買ったものと昨年小田原のショッピングセンターで買ったものとは全然違っていた。もちろん銀座のものが良かった。もしかしたら管理だけではなく何か他の理由もあるのかもしれない。柔らかく奥行きがあり滋味に富む味わいは日本酒の王道。近くでは扱っている店が少ないので「大七純米」はささやかな極私的銀座土産なのだ。
朝から小田原へ。「火牛(かぎゅう)」の蔵元、相田酒造店で純米酒の利き酒をしてきた。場所は箱根ののぼり口、地球博物館の前なので分かりやすい。
この蔵で作っているのはすべて純米酒。7種類ほど試飲させてもらったがどれも澄みきっていて雑味のない辛口。これほど透明感のある酒は神奈川にはなかった。日本中捜しても少ないと思う。何色にも染まらない素の魅力。酒は造る人をあらわす。地球博物館の隣にこんな日本酒の新星が生まれていたわけだ。今後は小田原の陽光をたっぷり浴びて、さらにふくよかで力強い酒に育って欲しい。
相田酒造店のホームページはhttp://www.kagyu.co.jp/
23日からの伊勢原での「蕎麦猪口の会」でも試飲できます。詳しくはexhibitionをご覧下さい。
「鳥飼」は熊本県人吉市で作られている米焼酎。封を開けるとまるで吟醸酒(日本酒)のような香り。おそらく醸造の工程で日本酒と同じ酵母が使われているのだと思う。飲んでみると味はたしかに焼酎、なのに香りは日本酒。もうなんだかこんがらがってしまいそうだ。
夕方ちょっと外出したら辛夷は満開。ソメイヨシノも早いところではもう開き始めていた。おぼろな宵のほんのり浮かれた気分。急に白酒が飲みたくなって知り合いの酒屋へ直行。定休日なのに開けてもらって仕入れてきたのは菊姫のにごり酒。量は飲めないが若々しく芳醇な味で肌寒いこの季節にも良く合う。そのうちヒマになったらこの酒で花見をしたい。平安朝のうたげの気分で。
福島県二本松市の大七は以前からヒイキにしている酒。先日デパートの食品売り場で見つけて買ってきた。ほぼ一年ぶりに飲む大七はいつものごとく、、、と言いたいところだが、今回はちょっと違っている。雑味が多くなり泥臭くなった。扁平精米法というのは合理的な方法だとは思うが現実には理論どうりに削れてないのではなかろうか。誤解のないように書いておくが、決して泥臭い酒が悪いとは思っていない。ただ69%精白でこの味ならばもっと値段を下げるべき。大七に期待するのはそんな日常的な酒ではなく、もやもやした雲を突き抜けた先にある澄み渡った世界なのだな。今年の新酒に期待したい。
焼酎ブームに押されてこのところかげの薄い日本酒だが、知らないところで動いているようだ。量販店へ行くと格安の純米酒が並んでいて、しかもその数が少しずつ増えている。これまでの純米酒の平均が2500円前後だったのに対し、こちらは1600円前後。ウーム。
前から気になっていたので試しに買ってみた。そしたらこれが面白い。芳醇な奥深さといったものはないが、澄んだ味で辛口。たとえれば軽めの直球ストレート。しかも作りに手間をかけてないせいだろうか、それぞれ個性がとんがっていて面白い。全国的な地酒ブームが起きる前の地酒とはこういうものだったのかもしれない。
勝手ながら今後はこのクラスの酒を「B級日本酒」と呼びたい。焼酎の次はこのB級日本酒ブームかも。
低気圧の通過で今週末は太平洋側でも大雪とのことだったが予報はハズレ。風は強いが気温はそれほど下がらず、夜になっても雪にはなっていない。雪ごもりを覚悟して(ちょいと大袈裟か)食料の買出しに出かけたのは無駄骨だったようだ。
雪見酒にぴったりなのが白酒(にごり酒)。添加物がいっぱい入ったおかしなものも多いが、これは正統派「菊姫」のにごり酒。味わいはたっぷりとしていて頭が痛くなるようなこともない。器はやはり塗り物が合う。
福島県二本松市の両雄、「大七」と「奥の松」。内陸の酒ながらどちらも口当たりが柔らかい。それでもしいていうならば剛の大七、柔の奥の松か。忘年会続きでアルコール飽和状態の体でもなおうまいと思わせる奥深さ。
新潟の震災では多くの酒蔵が被害にあったらしい。もしかしたら今後、これを機に日本酒地図が変わってくる可能性もある。久保田、八海山、〆張鶴など新潟の酒はいまだに人気がある。確かにいい酒もあるがただ値段は高すぎると思う。日本酒の世界もそろそろブランドで売る時代は終わり。被害にあった酒蔵には追い討ちをかけるようで心苦しいが、本来の「新潟の地酒」に戻っていい酒を造って欲しいと思うのだが。
東北6県の中で山形県だけは日本酒の性格がはっきりせず、不思議に思っていた。時代遅れの酒造りと一方では都会に媚びた酒造り。両極のあいだで目指すべき方向が揺れ動いていたのだと思う。
「亀酔(きっすい)」は米鶴(よねつる)酒造の新顔。山形の酒ということで躊躇したが飲んでみて驚いた。薄暗がりの中で漆黒の大黒柱に出会ったような安定感。静けさの力。名前の由来は酒米「亀の尾」の変異種を自家栽培した「亀酔」という米から。これはこの秋の収穫だ。
オリンピックが終わったら台風がやってきた。関東からは遠いルートを通っているので被害はないが、それでも一日中湿度が高く夜半には激しい雨が降った。天気図を見ると今回の16号のあとに18号台風が同じようなルートで進んでいる。こちらのほうも要注意か。
ひところの暑さもおさまり、ようやく日本酒がおいしく飲めるようになってきた。「飛良泉」は秋田の酒。純米酒ながら酸の立ちが強くキリッと引き締まった味わい。決してバランスがいいとは言えないが、混ぜ物のない「生(き)」の力強さがある。好み。
土も天然の材料なので同じ銘柄でも取り寄せる時期によって違いが出る。ただ一般的に言って年々質が落ちてきているのは確か。良質の粘土は無尽蔵ではない。焼き物の世界も資源の枯渇は時間の問題だ。
「文蔵」は熊本、多良木町の米焼酎。いただきモノだがなかなかいい。米焼酎は無味無臭の味気ないものが多いがこれはしっかりとコクがありまろやか。日本のコニャックか。今夜はロクロがうまくいかないのでついチビリとやってしまった。
今日から写真の表示方法を変えることにした。サイズを小さくし、しかも翌日以降もサイズを変えないことにしようと思う。これはBLOGソフトの問題で、写真ファイルのサイズだけを変更することが出来ないため。(サイズを変えると記事自体が新しくなってしまう。)BLOG式は便利だがこういうところの小回りがきかないようだ。
天の戸は元気のいい秋田の酒。麹の香りが強すぎて洗練されてはいないが力強い味。本醸造なのに原酒なみに濃い。
地酒ブームの頃は新潟の酒がもてはやされたものだが、それはもう昔のこと。淡麗辛口の新潟流の酒造りはもはや時代遅れ、というかすでにその役割を終えたというべきか。あるいは本来の意味で新潟の地酒に戻ったというべきか。要するに「水のような酒」というものがもうとっくに飽きられている、ということに新潟の酒造りをする人たち自身が気づいていないと感じていた。
ところがこの寒中梅、いただきもので初めて飲んでいるがなかなか良い。新潟の酒とは思えない味。骨太で飲みごたえがある。新潟もまだまだ捨てたものではないようだ。
数年ぶりに飲む出羽の雫。十数年の流れの中で杜氏が変わり、酵母が変わり、日本酒を取り巻く環境も変わった。味は麹のふっくらした香りの中にきりっと酸味が加わった独特なもの。正直言うとバランスは良くないと思う。この酒の目指すところが見えてこない。初期の出羽の雫は人の掌のような温かさがあった。時の流れはこの酒にさえも一種の「個性」を要求しているのか。もしくは出羽の雫の役割はすでに終わったと言うべきなのか。この酒を支えてきた人々の情熱もまた消えてしまったのか。そうでないことを祈りたい。
広島県は酒造りの上では西日本の中心地。たしかにいい酒が多い。で、今日の酒は竹原市の「幻」、、、と言いたいところだが、なんとご覧のとおり。
スーパーで買い物をして車の助手席のドアを開けたとたん一升瓶がするりと落ち、、、。駐車場のアスファルトの上に流れ出る透明な酒。それを指をくわえて呆然と眺めているしかないという情けなさ。
逃した魚は大きい。流した酒はかぐわしい。「幻」は本当にまぼろしだった。涙。
日本酒の世界は栄枯盛衰。年ごとに地図が塗り変わっていく。「菊姫」といえば北陸の横綱的酒蔵ではあったのだが、伝説的なストーリーだけが一人歩きをしていてその酒質について真正面から論じられることは少なかったのではないかと思う。
これは菊姫の中でも廉価版の「淳」。ラベルにあった我酔欲眠という李白の詩につられて買ってしまった。
味は正直言って×(バッテン)。日本酒とは思えないほどの匂い、臭み。どれほど高級な酒を造っていようと、その同じ造り手がたとえ廉価版とはいえこんな酒を出していいものだろうか。これで2200円くらい(だったかな?)。ブランドがなければ1500円でも売れるかどうか。
あーあ、また料理酒が一本増えてしまった。残念ながら今夜は菊姫ブランドの終焉を感じた夜でありました。
11月26日追記
一ヶ月ほど経って飲みなおしてみたら意外といい酒になっていた。開けたてより少し時間を置いたほうが酒は落ち着く。これは臭みが減って芯が出てきた感じ。ちょっと見直した。