homeotukimi 2002年1月


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 宇治の平等院の鳳凰堂の中には本尊を取り囲むように雲中供養菩薩が飛んでいる。この菩薩たちはなんと雲に乗って楽器を奏で、歌い、踊っているのだ。
 それまで彫刻といえば天平期のものにばかり目がいっていて、平安期以降のものには正直言ってあまり興味がなかった。しかしこれらの彫刻には参った。イメージの豊さに圧倒された。これは壮麗な交響楽だ。
 この写真集を見てからすっかり雲にはまってしまい、作るものにはなんでも雲を入れていた時期がある。
 これはコーヒーカップだが受け皿もカップも雲、雲、雲、、、。写真の菩薩とは比べようもなくたわいないが、久しぶりに取り出してみるとやはりちょっと懐かしかった。

2002/1/31




パスポート

 新しいパスポートが出来た。以前のものよりだいぶ小さくなっている。それはいいのだがデザインがなんとも安っぽい。まるで中学時代の生徒手帳並だ。
 こんなものでも海外へ出れば身分証明のための唯一のもの。肌身離さず持ち歩かねばならないのだ。何とかして欲しいなァ。
 おまけにこの手帳1万5千円もする。しかも強制的。ま、これがお上の商売か。払ったお金はどこへ行くのやら。

2002/1/30
 




クレソン

 いつもの山の水場の近くでクレソン発見。凍りつきそうなほど冷たい水の中で、びっしりと肩を寄せ合うように生えている。養分が足りないのかすべて小ぶり。しかし噛んでみたらぴりりと辛かった。
 生で食べてもいいが、塩をまぶしておくと一晩でおいしい漬物になる。山の神に感謝して数株だけいただいてきた。

2002/1/29




春菊

 久しぶりに白あえを作った。いつもはほうれん草を使うところだが今日は春菊。
 炒りごまを擦り味噌を加える。それに水気を切った木綿豆腐を入れてかるく混ぜ合わせ、ゆでた春菊を和えて出来あがり。
 これに人参やこんにゃくを足せばいろどりもバランスもいいのだが、簡単スピード料理を身上としているため和え物は常に一種類。
 ちなみに料理に砂糖は使わない。笑われた事もあるがそれでいいと思っている。糖分は他のもの(日本酒?)で摂ってマス。

2002/1/28




ラブ君

 午前中に雨は止み、日差しも見えてきた。友人二人を送り、銀座へ向かう。
 午後から搬出。集計したら予想以上に売上が伸びていた。ありがたい。これでまた少し希望が見えてきた。
 寝不足ながら帰りは横浜へ寄り、K君と山手の「萍記(ピンキ)」で夕食。いつもながらうまい。満足。

2002/1/27
 展覧会最終日、打ち上げを兼ねて友人宅で新年会。車で移動する間に激しい雨が雪に変わった。まだスノータイヤに代えてなかったので不安になる。
 T家に着いたらいきなりラブ君のお出迎え。初対面なのにやたらと愛想がいい。7歳にしてはちょっと幼いか、、、な?でも素直で陽気。
 鍋を囲んでの5人の宴会。話しに夢中で、いつのまにか朝になっていた。皆さんまだまだ若い。至福の一夜。ごちそうさまでした。

2002/1/26




 高校時代の友人に会った。30年ぶりだ。
 九州から夜行列車に揺られ東京へ出てきたころ、やはり何事かを成し遂げたいと思っていた。自分にしか出来ないこと。
 しかしいまだ道半ば。先のことを考えるたび、つい躊躇してしまうこともあるが、今日は皆に背中をドスンと押されたような気分。
 飲み屋のカウンターでそれぞれの人生へのいとおしさを込めて30年ぶりの手を撮った。

2002/1/25




土作り

 このところ少し落ち着いてきたので、土作りをはじめた。
 これは数年前に愛知県の山へ行き自分で掘ってきたもの。鉄分が多くしかも粒子が粗いので単味では使えないが、他の土と適度に混ぜ合わせれば野性的な面白い土になる。
 これからさらに細かく砕き、水にといてドロドロにする。それを素焼きの鉢に取り分け、適度に水分を飛ばして出来あがり。

2002/1/24




西行

 久しぶりに本屋へ行ったが探している本はなく、代わりに宮嶋康彦氏の「さくら路」を買ってきた。先日の「西行まんじゅう」が引き寄せたのかもしれない。西行といえばさくら。
 大磯の海岸近くに鴫立庵という萱葺きの小さな庵がある。ここはその昔、西行が「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮」を詠んだ地。故白洲正子も幼いころここで遊んだことがあると書いている。
 この「西行まんじゅう」は大磯町の新杵で作っている。中は控えめな甘さの上品なこしあん。
 そのうち
my favoritesのなかで「大磯うまいものめぐり」でもはじめようかしらん。

2002/1/23




ふきのとう味噌

 晴れて気温は高いのに風が冷たかった。
 今日はヒマなのでふきのとう味噌を作る。ふきのとうは近所で摘んできたもの、、、と言いたいところだが、実は残念ながらスーパーで見つけた。ふきのとうを細かくきざみ、油で炒める。それに味噌を加えてさらに炒める。これで出来あがり。料理ともいえないほど簡単。酒のつまみにもいいが熱いご飯にもよく合う。春はもうすぐ。

2002/1/22




冬の嵐

 昼から焼き物つながりの新年会のため山へ向かう。途中ひどい雨にあったが山の上では小降り。
 今日食べたもの。かつおのたたき。かきフライ。豚の角煮。からすみ。煮物。黒豆。サラダ。そして最後はやはり手打ち蕎麦。そのあとさらに大磯の「西行まんじゅう」にお抹茶。このところ飲むばかりでろくに食べてなかったので、二人分ぐらいしっかりいただいた。美味。満腹。
 外は雷なども光っていたが酒が入っていたので全然気にならず。陰鬱な冬の嵐も酩酊の中でかるくやり過ごす事が出来た。

2002/1/21




 このところ久しく列車の旅というものをしたことがない。車に乗るようになると何かと便利なので、どこへ行くにも車でばかり。自分で運転して好きなところへ行けるが、意外とまわりの風景は見えていない。
 ここは新橋駅。がらんとしたホームにいると、この先の暗い闇のズーッと向こうまで列車に揺られて行ってみたくなる。

2002/1/20




2ヶ月

 ホームページを公開してからちょうど2ヶ月。私にとってはまさに天変地異にも等しい激変の日々だった。
 とくに人との出会いと再会はすごい。今まで自分が対処できる範囲でのんびりと過ごしてきたせいか、頭と体がまだ十分対応できていない。そのためあちこちで失礼なことをやっているのではないかと不安にもなる。
 今回の蕎麦は石臼で苦労して挽いたわりには、いまいち満足できず。夜になって別の蕎麦粉で再挑戦。こちらは大好評。昼間来ていただいた方々にはまったく申し訳ない。スミマセン。
 例によって、家に着いたのは深夜。クタクタで何も出来ずそのまま熟睡。
 写真は首都高速から見える六本木に建築中のビル。ここを通るたびに少しずつ変わっている。これだけではなく、東京はビルの新築ラッシュ。本当に不況なのだろうか。

2002/1/19




品川駅

 夕方銀座から渋谷へ出る。「楽」の新年会に飛び入り参加。渋谷なんて何年振りだろう。道玄坂と宮益坂を間違えてしまった。
 ほとんど初対面の人たちだったので緊張するかと思ったら全くそんな事はなく、はじめからすっかりリラックス。二次会まで楽しませてもらった。おかげで少々飲み過ぎ。おまけに最終電車に遅れそうになりあわててしまった。東京で飲むとたいていこうなる。
 写真は品川駅に着いてほっとしているところ。東海道線の最終に間に合った。

2002/1/18




石臼

 土曜日にまた蕎麦を打つので石臼を使って粉をひいた。2キロの粉をひくのにたっぷり3時間かかってしまった。今日は山に行って水も汲んできたし、明日の夜はそばつゆ作り。結構準備が大変なのだ。
 こんなことをやっていると、やはり食べるだけの人が一番いいと思えてくるが、でもまあ半分は楽しみでもあるのでそう苦にもならない。これでおいしい蕎麦になってくれれば文句はない。

2002/1/17




震災

 20世紀の世紀末は、日本においては阪神淡路の大震災とサリン事件に集約されるだろう。(もちろんその前奏としてバブルの狂奏曲もあるが)
 あの日あちこちから火の手が上がる神戸の映像を見ながら、自分の意識が確実に変わっていくのを感じた。
 私たちの生は奇跡の連続。安全などというものは幻想に過ぎない。この国の財政からして綱渡り。飲み水は雨に頼っている。ちょっとしたミスが重なれば原発で何が起きるかわからない。
 あれから7年。街の外観は復興できても精神のケアは遅れていると思う。神戸で起きたサカキバラ事件や小学校での殺傷事件は震災と無関係ではないだろう。
 この写真は1995年の作品「星の記憶」の中心部分。窯の中で爆発してバラバラになったものを、破片を丹念に拾い集め、数日かけて修復した。破片をクズとして捨ててしまうのではなく、一つ一つつなぎ合わせていく過程で、何か救われるものがあった。
 昨日のねずみが今日はぱったりと姿を見せない。近所の野良猫にでも見つかったのかもしれない。ねずみですら命がけの毎日を送っているのだ。

2002/1/16




焼き直し

 前回の本焼きで釉が乗らなかったものをもう一度焼き直してみた。色が少し濃くなった気はするが、まずまずうまくいった。これは香合。
 冷蔵庫の後ろで何やらがさごそ音がすると思ったらねずみだった。親指くらいのかわいいねずみだったが、ここで温情は禁物。何とか退散してもらわねば。猫がいないとこんなことになる。
 10年近く飼っていた相棒猫の「リク」が亡くなったのは一昨年の秋。いい猫だったので今でもよく思い出す。新しい猫を飼おうかと思うときもあるが、まだ踏みきれないでいる。

2002/1/15




味噌

 食べ物の好みで人を分ければ、肉食派と豆派にわかれると思う。私は豆派。大豆、小豆はもちろんのこと、木の実やフルーツ、根菜類など嫌いなものはない。
 味噌はもちろん好き。この冬は是非自家製味噌に挑戦したいと思っている。ただ赤味噌(八丁味噌)だけは無理だと思うので、これからもこの「カクキュー」に頼ることになりそう。味噌汁の具はなめこに豆腐が定番。だしはしっかりとる。
 「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ、、、」玄米を四合というのは一日の量としては多すぎると思うのだが、それでもこんな生活もあながち不可能ではないような気がする。

2002/1/14




電車

 日曜日なので行きも帰りも電車がすいていてほっとする。昔から満員電車が嫌いなのだ。だいたい見ず知らずの他人同士が、いきなり狭いところにギューギュー押し込まれるなんて恐怖だ。人と人とのあいだには快適な距離感というものがある。その距離感を保ってこそはじめて正常な人間関係が築けると思う。
 日曜日は銀座もすいている。昼間、ギャラリー部分だけを開けることになっていたので、会場でひとりぼんやりと時間を過ごしていたら、ありがたいことに来客あり。Hさんや数組のご夫妻とお茶からお酒へと数時間も楽しく過ごすことが出来た。
 デジカメの不調はメモリーカードに問題があったようで、新しいカードにしたら回復。

2002/1/13




蕎麦打ち

 初めてのところで、しかも狭いスペースしかなかったので苦労した。昼間は数人だったのが、夕方から人が増えて結局20人分くらい打った。今回は会津の蕎麦でもちろん十割。新蕎麦なので水は控えめでよかったみたい。つゆの出来もよく、皆さんに満足してもらえた(と思う)。
 デジカメの調子が悪く、写真撮れず。早急に直します。

2002/1/12




銀座

 今日は電車で銀座へ出る。たまに電車に乗るとちょっとした旅行気分になるし、車で行くより楽。
 夜になって銀ブラ。銀座の夜は意外と早い。8時にはたいていの店が閉まっているし人通りも少なくなる。あとは飲食店の時間。
 久しぶりに歩いてみると新しいビルがいくつもできている。これはソニービルの隣のエルメス。外壁がすべてガラスブロックでできている積み木細工のようなビルだ。地震のときはガラガラと崩れはしないかと心配になってしまう。
 帰ってからはそばつゆ作り。明日は蕎麦を打つことになっているのだ。

2002/1/11




太平洋

 海の近くに住んでいるのに海を見ることはあまりない。近くにあるとかえってありがたみがなくなるのだろうか。
 高いところから眺めれば水平線がわずかに湾曲しているのがわかるし、浜に下りれば波の音、潮のにおいの中で貝殻や石ころと遊べる。
 十年近く前だったか、伊豆大島の三原山が噴火した時は、夜の海が真っ赤に見えたこともあった。
 気がつけばもう20年以上もこの海の近くを転々としている。他の土地に引っ越したいという衝動にかられることもあるが、まだまだ当分はここに住むことになりそうだ。

2002/1/10




富士山

 土曜日に蕎麦を打つので、そのときに使う水を汲みに山へ出かけた。おいしい水でゆでた方が蕎麦湯がおいしくなるということが分かったからだ。
 この季節は空気が澄んでいるので、富士山がくっきりと見えた。
 学生のころ山中湖の友人の旅館に行ったことがあって、そのとき間近に見た富士山には圧倒されたものだ。初めて日本という国を見たような気がした。とりわけて好きな山ではないのだが、姿は美しいと思う。
 帰りには渋滞する車の中から大きな流れ星が見えた。
 今夜からまた本焼き。ちょっとしたたのまれ物が残っていたのだ。でも時間に追われるわけではないのでのんびりとできる。

2002/1/9




かえし

 今日(火曜日)も銀座へ行く事になってしまった。まだ持っていくものが残っていたのだ。このところフル回転でやってきたのでしばらく休みたい。水曜、木曜は休んで、金曜、土曜、日曜には昼間から会場に出かけることにする。
 久しぶりにそばつゆ用の「かえし」を作った。材料は醤油、みりん、砂糖。沸騰させないように気を付けながらゆっくり暖めていく。これをできれば一か月以上寝かせてから使う。今回はうまく出来たみたい。

2002/1/8




初日

 今回の会場は半分がバーで半分がギャラリーという複雑なところ。でも面白い。世の中に単純な場所などはないのだから。矛盾を受け止めてそれを今後のエネルギーに変えていけばよい。
 帰りはどしゃぶり。雨の夜の運転は神経を使う。家に着いて風呂に入ったらたちまち眠くなってしまった。

2002/1/7




東京タワー

 明日から個展なので一部搬入を兼ねて銀座へ行った。帰りには東京タワーの下を通ってきた。子供のころ東京へ来たときは必ず上ってみたところだ。
 当時はこの辺一帯はずいぶんと華やいでいたようだったが、今ではひっそりと静まり返っている。
 塔のデザインははっきり言ってダサイと思う。でもなにかノスタルジックな愛着があって、この近くを通るとほっとするし、「東京へ来た!」という実感もわいてくる。

2002/1/6




おやすみ

 午後3時に窯が終わり、ほっと一息。雑煮を食べ、久しぶりにパジャマを着て寝る。夜には起きるつもりがなんと朝まで寝てしまった。熟睡。
 というわけで今は1月6日の日曜日午前9時40分。写真はおやすみ。

2002/1/5




エアーコンプレッサー

 釉掛けは時間がかかる。だいたい予想の3倍くらいかかると思っていたほうがよさそうだ。細かい作業が多いのであっという間に時間が過ぎてしまう。今回は終わったのが夜の9時。
 エアーコンプレッサーは釉掛けの大きな味方。使い始めたらもう手放せない。今日も大活躍してくれた。

2002/1/4




釉掛け

 またウイルスメールを開けてしまった。今回はかなり巧妙で、こちらから出したメールへの返信の形をとっていた。しかしいろいろと対策を立てていたせいか、今のところ実害はない模様。でも油断は出来ない。
 そんなことで釉掛けが遅れてしまい、またまた朝になってしまった。おそくとも昼前には火を入れたいのだが、このぶんではどうなる事やら。

2002/1/3




白魚

 今回最後の素焼きにまでようやくこぎつけた。このあとさらに本焼きが残っているのに、もうすでに体力の限界か。早くゆっくり休みたい。
 熱い風呂に入ってから、白魚の干物で一杯。とりあえず数時間寝られそう。

2002/1/2




削り

 正月からよくはたらいている。一年を通してこの調子でやればすごいことになるのだろうが、根がナマケモノなのでそれは先ず無理。
 今日は香合の削り。磁器土は白く乾いてから削り出す。削り粉が宙に舞って、ロクロのまわりは煙に巻かれたようになる。

2002/1/1

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