今から一年余り前の2015年1月7日、パリのシャルリ・エブド誌の編集部が襲撃された。
この事件をきっかけにフランス国内に排外主義のうねりが集団ヒステリーのように広がり自由、平等、博愛の国が一夜にして不自由、不平等、排外の社会へと変貌していく。
エマニュエル・トッドの新刊はフランス社会のその変化の背景を宗教の衰退と格差の拡大にあると説く。
まだ読みかけだがこの指摘はことごとく日本にも当てはまりそうだ。仏教の形骸化は今さら言うまでもなく、格差の拡大はますます広がるばかり。ひとつだけ違うのは日本の場合はテロ事件ではなく東日本大震災という地震、津波、原発事故の三重災害だったこと。その後のアベ政権の誕生と閉塞した社会状況はフランスの今と通底するものがある。