石景3

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 今回のイベントに向けて少し解説的な文章を書きました。

「石景 城山庵」に寄せて

 浜辺を歩くときの楽しみの一つは石ころ探しです。探し、と言っても具体的に何かを探すわけではなくただ、あれこれと眺めているだけなのですが。
 色や形、模様など大小さまざまな石ころたちがひしめいていて時のたつのも忘れてしまいます。
 一つひとつの石の来歴をたどれば数万年、いや数億年という途方もない時間を遡ることになります。それほどの時間を過ごしてきたものたちが今、目の前に在るという奇跡。しかもザクザクと。
 
 やきもの制作の過程も実はこれらの石ころの歴史とつながっています。
 地球内部から上ってきたマグマが地中でゆっくりと冷えて岩石となり、それが風化されて石ころよりはるかに小さな粒子となって風や雨に流され水中にゆっくり堆積したもの、それが粘土です。
 やきものはその粘土を人間の手で成形し、熱を加えることで再び新たな石、岩、あるいは鉱物としてよみがえらせる作業ともいえます。

 億という年月を経て繰り返される大地の循環。それに比べて人の生のなんとはかないことか。しかし、やきものを造るという作業を通して大自然の悠久の時間の流れを知り、その一端に触れることができるのは大きな喜びであり、また安らぎでもあります。